始まりは唐突に

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「だ、そうだってお前、自分の事だろ?」 「いや、実感が湧かねぇ」 呼び出しされる様な事をした覚えはない。なにせ今日は1学期が始まってまだ一日目だ。 「ひょっとしたら、ラブレターかもよ?」 「俺に?まさか。オタクを好きになる奴なんてただの馬鹿か、よっぽどの酔狂だな」 「亘、そこまで自分を卑下するな。」 直樹がフォローしてくる。 「そもそも、ラブレターがくるなら、俺よりお前の方だと思うぜ?」 そうなのだ。こいつは俺よりもオタクのくせにあまりそれを知られてないのだ。俺と居るときはギャルゲーの話をするが、クラスメイトと居るときは昨日のテレビ番組の話だとか、近くに出来た安くて旨い定食屋の話をしている。
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