PM10:30

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  食後にはコーヒーまで出してもらって、まさに至福の時間を過ごしていた。   食事も終わり一瞬の沈黙。 「えっと…田中さんは、いつも帰りはこの時間なんですか?」 何をどう話せば良いのかわからず、無難な線といえば、やっぱり仕事の話だろうか。 「ちょっと少年。“田中さん”は、やめてほしいなぁ。一気に老け込んじゃうでしょう?」 「え…。と。じゃあ“深雪さん”?」 思わず読んじゃったけど…イイのか?(汗) 「あはは。よしよし。」 彼女は豪快に笑ってみせる。 この人…。男っぽい所がなければ綺麗なのに。 「仕事はね。その時期によってマチマチなのよ。デザイン関係の仕事なんだけど…内容によっては、もっと遅い時だってあるのよ?」 そう言いながら、ふっと横の箱に目をやった。 さっきのダンボール箱だ。 「あっ!デザインの仕事なんですか?だから絵の具とかが、あったんですね。」 …あえて写真の事は口にしなかったが。 言葉にしてから言って良かったのか、正直、焦った。     「絵の具と一緒に写真、あったでしょう?」 彼女は静かに話し始めた。  
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