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オレ、腹ぺこキング牧原有介は重たい足取りで、ほんの数分前に通り過ぎたコンビニまで戻ってきた。
…そこまでは良かった。
今現在の所持金…256円。
結局、菓子パン1つに缶コーヒー1本。
残金16円。
コンビニの前に座り込んで、かじりつくけど…こんな量じゃ、あっという間になくなってしまう。
当然といえば当然だけど足りない。
「ハラ減ったなぁ…」
そう…ぼやきながら、ただただ通行人を眺めていた。
その時、一人の女がオレの前を通り過ぎようとしていた。
『グゥ―――――っっ』
タイミングが良いと言うべきか悪いと言うべきか…。見事なまでの腹の鳴りよう。
その女は振り返りオレと目が合う。
一瞬の沈黙の後、二人で吹き出す。
「キミ、お腹すいてるの?」
「あー…へってる」
その女は目に涙をためて笑いながら
「少年。ウチにくるかい?」
…いいのか?
…ってか少年って年じゃないだろ?
とツッコミ所満載だなと思いながらも空腹には勝てなかった。
「お願いします(汗)」
こうしてオレは、この女に拾われた。
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