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オレを拾った女…もとい、田中深雪(たなかみゆき)は、ここからほど近い小さな会社で働いているOLで丁度、仕事帰りだったらしい。
博愛精神が強いのか。ただ単に興味本位だったのか…。
普通なら知りもしない他人のオレなんて拾わないよな…。
そう心の中で思いながら彼女と時折、会話をしながら歩を進める。
彼女の住むアパートの玄関までついてきたが…。
中に入るのを一瞬、躊躇する。
「? 入らないの?」
彼女はあっけらかんとして言葉をかける。
「…えっと…本当にいいんですか?」
(仮にも見知らぬ人間を…それにオレは男だぞ!?)
…という言葉は口に出さずに飲み込んだが、彼女はオレの心中を察したのか、一人でケラケラと笑っていた。
「大丈夫よ。一応先に言っておくけど、私、空手の有段者よ?これでも学生の頃は大会で活躍してたんだから。…それとも、一合わせしてみる?(笑)」
その言葉を聞いて納得しながら
『この人は絶対に怒らせないようにしよう』と心の中でオレは誓った。
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