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メールが途絶えてから2日後、
僕はまた母親の付き合いで、友達と藤田さんのいるスーパーに行った。
運が良いのか悪いのか、
やっぱり友達の姿は見つけられなかった……けど、
藤田さんはいた。
せっせと野菜を陳列コーナーに並べてく藤田さん。
僕たちより一回り以上も老けた顔。
ヒゲ面にじわっと滲む汗。
改めて、こんなののどこがいいんだろって思う。
なんでこんなヤツを好きになっちゃったんだろ?
そうだよ、好きにならなかったら
僕がいろいろ考えることもなかったし、
アイツもあんなに傷つくこともなかったのに。
「……っ!?」
藤田さんを見てたら、そのまま目があった。
僕は藤田さんのこと知ってるのに、向こうは僕のことちっとも知らない。
「……」
しばらく沈黙が続いた後、藤田さんは軽く会釈して作業に戻ると、
近くにいたおばあちゃんに何かを尋ねられ、
笑顔で丁寧に答えていた。
藤田さんは……アイツが今どんな気持ちでいるのかも、
僕がどう思ってるのかも知らない。
だから、
僕はやっぱり……藤田さんが嫌いだ。
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