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「うわぁ…やべぇ…」 僕は困っていた。 冒頭から絶望の淵に立たされる僕は東雲龍樹(しののめ りゅうき)。 高校1年生である。 ついこの間まで中学生であった彼の顔立ちにはまだ幼さを残してる。 だがその幼い表情はしかめっ面で眉間に深い皺を刻んでいる自分でもわかる。 僕の両手には一枚の紙が握られている。 俗に言う期末試験の数学の結果が握られていた。 ……27点。 50点満点の小テストであれば半分取れているので御の字であるが、期末試験ということで当然のように100点満点である。 間違いなく赤点である。 「母上に殺される……」 今のご時世、母親のことを母上と呼ぶのは特異な感性だと思う。 ただ母上はやはり母上というのがしっくりくる。 そういう人である。 今の僕にはそんなことはどうでもよい。 僕には見える。 帰宅した後に母親の静謐の怒りと己の無力さとに打ち拉がれている自分の姿を。
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