入学式と災難

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4月7日、入学式。 今年の桜はタイミングよく咲いたようで、満開である。 早くに咲いた桜は、風に吹かれて散り、とても綺麗で幻想的なように思えた。 風の爽やかな日だった。 入学式。 こんな日は誰もがそわそわする。 見知らぬ人、見知らぬ先生たち…。 新しい友達もたくさんできるだろうし、恋人だってできるかもしれない。 とにかくもう、うきうきなのである。 そんな中。 学園の受け付けでたたずむ女の子が一人。 「えっ!?どういうことですか!?」 あっちの女の子も、そっちの男の子も。入学式が行われるであろう会場へどんどん吸い込まれてゆく。 なのに。 「こちらのミスで高瀬様の入学手続きが済んでおりません。本当に申し訳ありません…」 緑が生い茂り、空気がおいしく、とても環境の整った場所に。 きらびやかな豪邸、と言った方が正しいのかもしれない校舎が建っていた。  
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