災難と同居人

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 長かった。本当に長かった……。一週間連絡を待ち続けるって何!? 楓華の心には嵐が巻き起こっていた。 「まずは理事長室に行かなきゃ」 受け付けのお姉さんにもらった校内地図を見遣る。 広い。広すぎる。理事長室ってどこ!?この地図全くわかんないんだけど…!てか校舎の数、多過ぎ!!ここどこ!!??状態である。 うーん、うーん?と地図を逆さにしたりひっくり返したり…。 いわゆる迷子だ。 楓華は迷子になっていた。 「どうしよう…わかんなくなっちゃった……」 誰かいないかな、と呟いた楓華の声は、広すぎる校舎に吸い込まれていくようだった。 はぁ、と落ち込んでいると背後に何者かの気配を感じ、ばっと振り向いた。 すると、180以上はあるのでは、という背の高い男子が立っていた。 「どうかしたんですか?」 と尋ねる男子はとても優しい声をしていた。  
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