弱小野球部

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俺は…こんな高校、行きたくなかった。 もっと野球が強い高校に行って、プロ野球の選手になりたいと、本気で思ってた。 試合に負けたあと、いつも思う。 今日は高校2年の夏の大会、1回戦だった。 俺が立ち上げた野球部の2回目の夏の大会は、10ー0。コールドゲームだった。 打たれた。 過去2回甲子園出場経験のある、東城高校がいきなり初戦の相手だった。 運も味方しない。 バックはフライを確実に捕ることも、ゴロをさばくこともできない。 今日の自責点は5。 もちろん物足りない結果だが、正直バックが下手すぎる。 なんとかならないか…… この問いに対する答えはいつも同じ。 「ピッチャーの俺が、前に打たせなければいい」 だから毎日この公園にきて、白い壁に黙々とボールを投げ込む。 しかし、いつもコントロールが定まらない。 イライラする。 思い切り投げると、狙っているところとは全然違うところに当たり、跳ね返ったボールは段ボールの家へ入っていった。
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