最終章 【永遠の愛】

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そして車は走り出した。 「つ…ちだ?」 すると運転手が後ろを振り返る。 「お嬢様、お久しぶりでございます」 やっぱり土田だ!! 「土田!! 元気だった? 皆変わりは無い?」 「はい。 皆、変わらず元気にしております。 旦那様も…。 お嬢様、突然で申し訳ありませんがこちらをして頂けますか?」 土田はアイマスクを私に差し出した。 「どういうこと? 理由を説明して。 そうじゃないと付けられないわ」 「申し訳ありません。 これは龍騎(りゅうき)様から絶対にと命じられております。 お嬢様、しばらくの我慢を。 お願い致します」 「龍ちゃんが!?」 「申し訳ありません」 これ以上、土田を責めても仕方ない。 土田も龍ちゃんには逆らえないんだから。 私は素直にアイマスクをした。 「これで良いのね?」 「申し訳ございません」 「…それで、どこへ行くの?」 「それも申し上げられません。 龍騎(りゅうき)様に、お嬢様をお連れするようにと、私はそれだけを申しつけられましたので」 龍ちゃん…何を考えてるの? 「わかったわ…」 周りが見えない不安…。 耳だけが頼り…。 でも、私も疲れていたんだろう。 運転手が土田とわかり、向かう先を指定したのが龍ちゃんだと思うと、安心して眠ってしまった。
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