第1章 【誘拐】

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お腹空いた…。 あんな写真のために呼び出しに応じなければ良かった。 父の浮気はお母さんが生きている時から。 今だって何人も愛人がいるかもしれない。 写真に写っていた女は…キャバ嬢ってところかな。 自分勝手で女好きの父の犠牲に何故私がならなきゃいけないの!? 何時間経ったんだろう…。 ガチャン…。 ガチャ!! ドキッ!! 入って来たのは背が高いから男。 手には何か紙袋を持っている。 ガチャン。 後ろ手で、内側からまた鍵をかけた。 私は近寄る男に身構えた。 えっ…。 男は紙袋をビデオの横に起き、ビデオカメラのモニターを見ている。 そして私から少し離れた斜め横の位置に立つ。 お腹の辺りに何か貼ってある? 私は暗闇の中でその紙に書かれた文字を読んだ。 “声を出すな。 5分程、寝たフリをしろ”
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