第1章 【誘拐】

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信用して良いの? 誰かもわからない、この男を…。 でも少なくとも、明日までは殺されないだろうけど…。 この人に賭けるしかない。 「わかった…飲む…」 「俺がいる限り、アンタを殺させたりしないから…」 えっ…? 「……」 目に涙が溜まる。 するとフワッと温もりに包まれた。 「泣くなよ…。 アンタの泣き顔は見たくない」 私を強く抱き締める。 ドキンッ…。 男の人に抱き締められるのは初めて…。 「ほら…涙拭いて…。 さっき寝たフリをした時の状態で薬を飲むんだ。 寒いかもしれないけど、毛布があると不自然だから、今日は持って帰る。 明日目覚めても、俺に対して反応するなよ? 今までと同じ警戒した目で見るんだ。 わかった?」
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