第1章 【誘拐】

28/35
前へ
/196ページ
次へ
男は腕時計を見る。 「さて…お父様は金を用意してくれたかな?」 私の頭を小突く。 「……」 もう正午ってこと? そんなにぐっすり眠ってしまったんだ…。 「さて…迫真の演技を見せてもらおうか」 迫真の演技…? 1度目の電話の時は、制服のボタンを切られた…。 2度目の電話の時は、髪の毛を切られた…。 今度は何!? 「電話を繋げ!!」 男が指示するとまた部屋に電話の呼び出し音が鳴り響く。 私は近くにいる男をじっと見つめて警戒した。 ビデオカメラの電源も入っている…。 「もしもし。小笠原だ」 またカチカチとパソコンのキーボードを叩く音が聞こえる。 「タイムリミットだ。 金は用意できたか?」 パシコンが話す。 「6億を1日でなんて無理だ!! 頼む!! 3億!! 3億ならすぐに用意できる!!」
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10063人が本棚に入れています
本棚に追加