10063人が本棚に入れています
本棚に追加
愛の無い見合い相手や、あの男に奪われるなら初恋の相手の龍ちゃんなら、私は後悔しない気がする…。
この状況でそんなことを考えている自分にハッとする。
何考えてんのよ…。
私は人質…生きて帰れるかもわからないのに。
龍ちゃんが掛けてくれた上着は、投げ捨てられている…。
私は寒さに震えながら、数時間を過ごした。
身代金の受け渡し…どうなっただろう…。
お金よりも、その運び役をさせられている秘書さんが心配…。
危ない目に合って無いと良いけど…。
すると外で声が聞こえた。
「ちょっと!! 誰よ!! こんなの置いたの!!」
女の声。
「ドアも壊されてる…」
あっ!! 龍ちゃん!!
「俺は知らないよ」
あの男…。
アンタじゃない!!
ガチャ!!
扉が開き、私はそちらを向いた。
龍ちゃん…。
アイツにされたことを思い出すと泣きそうになる。
でも、それを必死で堪えた。
最初のコメントを投稿しよう!