第2章 【真の目的】

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「おい!! お前、何した!?」 龍ちゃんが下りて来て、男の胸ぐらを掴む。 「別に何もしてねぇよ。 この女が自意識過剰なだけじゃねぇの?」 酷い…。 私はポタポタと涙をこぼした。 「お前、場所変われ!! あと2階上まで行くんだ」 今度は龍ちゃんが私の後ろを歩き、あの男が先頭を歩く。 私は涙を拭くこともできず、ただ無言で階段を上がった。 すると後ろ手をギュッと握られる…。 龍ちゃん…。 その優しさに余計涙が出た。 そして新しい部屋に入ると、さっきの部屋と全く同じ作り…。 私は同じ場所に座らされて、また足を縛られる。 ビデオカメラとパソコンも設置された。 ただ違うのは、龍ちゃんが1度縄をほどいてくれて私にジャージの上着をちゃんと着せてくれたこと。 そしてまた縄で縛られたけど、龍ちゃんは今までよりも少しゆるく結んでくれた。 縄の跡がクッキリと私の手首についてしまっていたからだと思う…。 こんな優しい龍ちゃんがどうして誘拐犯なんかに? どうして父の命を狙うの? 復讐って何の? そして、私を残して3人は出て行った。
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