第2章 【真の目的】

14/42
前へ
/196ページ
次へ
さっきの重そうなバッグ…6億が入ってるのかな…。 龍ちゃんはそのお金をどう使うんだろう。 私はどうなるんだろう…。 それからしばらくして、また龍ちゃんだけが紙袋を持って戻ってくる。 部屋に入れるのは龍ちゃんだけだから、声を聞かなくてもわかる。 カメラを覗きながら、私に寝たフリをするようにジェスチャーし、私は言われた通り昨夜と同じ体勢でまた眠ったフリをした。 「もう良いよ」 その声で目を開ける。 「せっかく一晩寝てる映像を撮ったのに、服装と場所が変わったからやり直しだ…」 そう言って龍ちゃんは私の前に座り、帽子とサングラス、バンダナを外した。 「あっ…そっか…また薬飲まないとね」 「いや…今日はまだ良い。 監視ビデオを見てるヤツは居ないだろうから」 「そうなの?」 「まぁ…いろいろあってな」 そう言うと、袋の中からコンビニのお弁当を取りだす。 「栄養のバランスが良さそうだったから、これにした」 龍ちゃんは笑顔を見せた。 「ねぇ…龍ちゃん…聞いて良い?」 「駄目」 えっ…。 「誘拐のことや身代金のこと、親父さんのことなら今は答えられない…。 知らない方が良いこともある」
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10063人が本棚に入れています
本棚に追加