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私は朱里にあることを頼み、荷物を持って裏門へ向かった。
きっと正門には運転手が迎えに来てる。
早く用事を済ませないと、きっと心配する。
運転手の土田(つちだ)さんは、父と同じくらいの歳。
それなのに、こんな小娘の運転手をさせられて…。
でも、私は土田さんが大好きだった。
自分の本当の父親のように思っている。
あんな父より、ずっと私を心配し思ってくれている。
朱里には、土田さんに少し遅くなるから待っててと伝えてもらった。
裏門へ行くのは久しぶり…。
裏門をくぐって、道路を1つ渡ったところに大学がある。
私達はあと数カ月で、その大学へ行く。
裏門に行くと相変わらず人が少ない。
ちらほらと生徒が下校しているけど、華やかな正門とは随分違う雰囲気だ。
私は手紙を強く握って、裏門の前で誰かもわからない差出人を待った。
そして5分程すると、私の前に1台の黒いワゴン車が停まる。
キキーッと嫌なブレーキ音を立てて。
かと思うと横開きのドアが開き、黒い服、黒い帽子、サングラス、その下にはバンダナをした連中が急に飛び出して来た。
なっ!! 何!?
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