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「ねぇ。何でなおくんバンドを やらないの?」
数秒黙った後に
直巳は、煙草を深く吸い込み
吐き出す。
そして…
「そうか。そいえば一番最初に 会ったのは、
“あの楽屋”だったよな。」
「うん。
ギターの人と言い合ってた」
「ああー。なるほど。」
直巳は、煙草を消し
ビールを飲みほすと
カクテルを注文する。
ビールとジンジャーエールを
割ったカクテルだ。
「まぁ。いいじゃんか。」
「よくないーまた隠し事ー」
「ええー!
またって何だよまたって」
「もういいです~。」
千恵は口を膨らまし
いじけてしまう。
直巳は、それを見て溜め息を
一つつくと。
「じゃあお前は、何か
ないのかよ。
お前だって自分の事を
あんまり話さないじゃん」
「うーん。話してるよ~。」
「全然知らんわ!」
そんなやりとりをしてると
バーテンが、カクテルを
運びながら直巳に
耳打ちをする。
「あの…なおさん
ちょっといいですか?」
「うるさいなー
今大事なとこ!」
そのやりとりを見て千恵は…
「また隠し事ー」
口を膨らまし
泣き真似をする…。
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