三話 もう無理っす…

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「教えてあげれば  いいんじゃない?」 直巳と千恵は、大騒ぎを していたので後ろから 近づく気配に気付かなかった。 バーテンは、両手で 額を抑える。 直巳と千恵に声をかけた女は 千恵の右隣の席に座る。 華奢な身体、薄ピンクな唇、 腰まで伸びた栗色の髪の毛、 少女のようなあどけない瞳… 一見フランス製の人形と 見間違えるような容姿 だが、身体中から出るオーラは一般人の者とは明らかに 格が違う。 直巳は、その女を睨み付けるが彼女は、動じずにニコリと 微笑む。 千恵は、現状を理解できずに オロオロとしている…。 「てめぇ何してんだよ。」 直巳のその言葉で 止まっていたような時が 動きだす。 「あら。ずいぶん酷いのね  “元カノ”に対して。」 「けっ…」 直巳が舌打ちをすると またあどけない微笑みを浮かべ千恵の方へ振り向くと… 「今晩は。可愛いヒトね。  わたしは、来栖アリス。  宜しくね。」
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