三話 もう無理っす…

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「な…お…き?  ってなおくんの事?  ねぇーなおくんの本名て  直巳じゃないの?ねぇ!」 千恵は、アリスが 残した言葉に対し直巳を 攻め立てる。 直巳は、終始黙っていたが あまりの千恵の猛攻に 耐え兼ねる… 「うるさいな。俺は直巳だ。  それ以上でも  それ以下でもねーよ!」 「だってあの人なおくんの事  “直樹”て呼んだし!」 「どうでもいいじゃんか  あんな奴なんでもない」 「だって!  元カノなんでしょ!」 「ああ。そうだよ  激しく忘れたい過去だよ!」 千恵は、一瞬黙り俯く 「まだ…好きなんだ…」 「は?」 「まだ好きなんでしょ!  だってあんな可愛いもん!  どうせあたしなんて  遊びなんでしょ!  もういい!」 千恵は、怒鳴り散らして 一人で店を出て行ってしまう。 一人残された直巳は 呆然としながら カクテルを飲み干す。 「くそ…何で“アンジュ”が  来る事、  教えてくんなかったんだよ」 直巳がそう攻め立てると バーテンは、 更に泣きそうな顔をする。 「いや…何度も  言おうとしましたよ!」 「くそ…もういいよ。またね」 直巳も一人店を後にした。
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