四話 逃げるな!意気地無し!

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続けて直巳は 静に語り始める。 「知っての通り親父はアレだ  俺がガキの頃に  俺と母さんを捨てて  音楽に没頭した。」 「そんな…」 「俺がアレを  親父だって知った時  優越感が無かったと言えば  嘘になる…。  だけど大人になるに連れて  次第に憎しみが増大した…」 「まさかなおくんが!」 直巳は吹き出す 「ちょっとー  そんなコナンみたいな展開  あるはずねーじゃねぇかー」 「だよね……。」 「まぁ似たようなもんかもな… 俺は、音楽を復讐のために  始めたんだからな。」 「復讐…。」 直巳は、遠い目をしながら 墓石を見つめる。 「親父に勝ちたかった。  俺より 大事だった音楽で  俺はあいつを倒したかった」 直巳は、煙草を 取りだし火をつける。 一瞬の無言の後にまた 口を開く。 「まぁ死んじまったんだから  俺の勝ちだ。  だからもう音楽なんて  やる必要ない。  俺の勝ちだ」 直巳は、いつもに増し 邪悪な笑顔を浮かべる。 そして高らかに 笑い声を上げる。
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