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「惑星へは、剣助が連れて行ける。では、みなが無事に修業を終えられるように──」
剣一郎がそう言って祈るように合掌すると、後ろに座っていた祖母たちも合わせて合掌する。まるで、死人に拝んでいるようで気持ち悪い。
しかしそれを見て、誰もが冗談ではないことを悟った。
「ちょ、ちょっと待って! 聞いてないよ!」
言ったのは派手めの女の子──璃光子だ。
「そうだよ! ちゃんと説明してよ!」
小柄な少女──水青も続く。
火芽香はおろおろして祖母を見たが、祖母は顔を上げようとはせず、黙って手を合わせ続けている。
その姿に、嫌悪を覚えた。
祖母はなぜ、今まで何も言ってくれなかったのか。今も何も言わず、ただ手を合わせるだけなんて非情ではないだろうか。
「質問は受け付けない。あちらに案内役が待機しているはずだから、あちらで聞きなさい」
剣一郎がぴしゃりと言い放つ。
あまりに冷たい言い方に、威勢のよかった璃光子も水青も絶句した。
お嬢様のような風歌は今にも泣きそうな顔で口を押さえている。
闇奈は分かっていないのか、こんな時でも冷静に綺麗な表情で一帯を見渡していた。
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