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今朝、テラスから部屋に戻ろうと足を踏み入れた時だった。
足の裏にチクリと痛みを感じて私は床に目を落とした。
小さいピアスが落ちていた。
「へぇ?ピアスがねえ。ユリはしてないのに?オンナじゃねーの?」と智弘が言った。
「かもね。ハートにゴマくらいのちぃっちゃい赤い石がついてた」と私が言った。
ここは智弘が仕事のために借りている広々としたワンルームマンションだ。
大きな書棚に本がぎっしりと収まってて、デスクのパソコンはいつも起動中だ。
あれはガーネット?
智弘が私の耳にキスをする。
「気になる?」
「別に」
「一応旦那だろ?」
「そうだけど?」
智弘の手が妖しくうごめく。
「また?」
「いいじゃん。ユリに会うの久しぶりだし。やるのも久々だし」
「あたしは別に久しぶりじゃないけどね」
「毎晩、旦那が可愛がってるわけだ。ちっ。妬けるねぇ」
「智弘には可愛い奥様とベビーがいるじゃない?」
「あいつはもう女じゃない。ただのママ。赤ん坊に乳やるためにおっぱい丸出しで寝てるんだぜ。萎えるっての。それに比べてユリはいいね。すっげ気持ちいいし何度でもイケちゃう感じ。俺、ユリのこと好きかもしんねぇよ」
「アリガト」
「うわっぜんぜん気持ち入ってねぇ」
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