夜明け

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ジゴールはそのままふらふらと家には帰らず、世界の端まで歩いて行く。 「こんなにも美しい景色に…俺が橋をかけて、他の世界と行き来する事が出来たら…」 世界の端に座り、目の前に広がるまだ見ぬ世界へと夢を馳せた。 「その願い…叶えてあげようか?」 ジゴールの酔った頭にその声は心地よく、吸い寄せられるように声がした方を見ると、そこには自分の世界にはいないような格好の少女が立っていた。 「君は?…橋をかける願いを叶えてくれるのか?」 ジゴールは、その少女が異世界の者なのだろうかと考えながらも、少女を見詰める 「私の名前はルインダ。違う世界の使者…特別な者しか渡れない今の世界は不便だわ…だから貴方に力を貸してあげる。」 ルインダと名乗る少女は妖しく微笑み、ジゴールに手を差し出す。 「あぁ…」 ジゴールは酔ったせいで見ている夢だと思い込み、ルインダの手を握る。 「世界は狭い…なら広くすればいいのよ…便利になればみんなもきっと喜ぶわ!」 ジゴールは手を離すと、そのまま眠りに落ちた。 世界の広さと狭さに苦痛を覚えながらも 夢しか見れない青年の夜は明ける…
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