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「どこ行くんだよ?」
「駅、だけど?」
あっ、もしかして
「乗せてくれるの?」
聞いた私に、ナオくんはわざとらしいため息を吐いた。
返事を聞く前に後ろに乗った私に、またため息。
「ありがとっ」
「ん」
やっぱり優しい。
期待しない方がいいと思ってたから、余計嬉しい。
「へへっ」
ナオくんの後ろで、我慢しきれなかった笑いが零れる。
「なに…?」
「なんでもなーい」
「疲れておかしくなったか? あ、元からか」
「ひどっ、そんな事ないもん」
ハハッと笑うナオくんに釣られて、私も笑った。
こんな日が、ずっと続くと思ってたんだよ?
だのに、それは、いとも簡単に、
呆気なく、終わってしまったんだ。
いや、
終わらせたのは、
私…?
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