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「あぁっ、…サイアク…」 自転車を前にしゃがみこむ。 「嘘でしょ…」 タイヤがパンクしてる。 今から電車じゃ、学校遅刻しちゃう… 私、山本沙希(ヤマモトサキ) 一週間前、高校生になったばかり。 ナオくん、もう行っちゃったかな…? ナオくん 加藤直明(カトウナオアキ) 同じ団地の同じ階段。 私の家の上がナオくんの家。 一つ年上の幼なじみ。 階段を下りてくる足音。 姿を現したのはナオくん。 「おはよ、…何やってんの?」 「おはよナオくん、後ろ乗せてって?」 自転車のパンクに気がついたのに、 「…二人乗り、見つかったら没収されんじゃん」 ナオくんは自転車の準備をして私を置いていくそぶり。 「えっ、入学早々遅刻なんてやだっ。 学校の近くで降りるからっ」 慌てる私の様子を見て自転車に跨がると、私の方を振り返った。 「ほら、遅刻すんぞ?」 そう言って、私が後ろに乗るのを待ってくれる。 なんだかんだ言っても、結局ナオくんは優しい。 「ありがとっ」 急いで後ろに乗ると、ナオくんは自転車を走らせた。 .
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