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普段見ることはないナオくんの頭を見下ろす。
真っ黒で硬い私の髪とは違って、色素の薄いサラサラの髪。
あ、後ろハネてる…
直そうと軽く指で撫でてみた。
「なに?」
「ハネてるよ」
「マジ?」
「そんなに目だたないけどね」
「じゃ、いーや」
「あはは、いーんだ」
なんてことない会話が楽しくて。
だいぶ暖かくなってきた風も清々しくて。
鼻を掠めるナオくんのシャンプーの香り。
こんなに近い距離に嬉しくなる。
「サキ、クラブ決めた?」
「うん、男バスのマネージャーやる」
「マジで? うち、結構キツイぞ?」
「うん、昨日もテレビ見ながら寝ちゃってた」
ナオくんはバスケ部。
私は今は仮入部だけど、ちゃんと入部するつもり。
だって、
ナオくんの傍にいたいもん。
それに、
一緒に帰れるし。
ちょっとした下心。
それくらい、いいよね?
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