プロローグ

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――人間とはこんなに小さいものなんだな。 僕の最愛の妻は手のひらの小さな壺の中で眠っている。 彼女がいなくなってしまっても社会は何も変わらない。何もなかったかのように時間は過ぎていく。 けれども。 そういうものなんじゃないかとも思う。僕にとっての彼女と社会にとっての彼女とは違うだろうから。 涙は出なかった。 感情を無くしたみたいで。 ただ。 真っ白だった。 何もかもを無くしたみたいだった。
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