プロローグ

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「いや。変わったコップの持ち方するなって思ってさ。お袋さんは礼儀に厳しい人なの?」  健太がそのような疑問を持つのも不思議ではない。  彼女はコップ側面を右手で掴み、コップの底に左手をそえて飲んでいる。  彼女の飲み方は茶道を嗜む人がお茶を飲む動作に極めて近いものがあるので、そう思ったのであろう。 「ううん。特に厳しくはなかった、と言うよりむしろ甘かったよ。」  彼女は平然と答えた。
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