第一章

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 そして自分は歩を止めた。  遠ざかって行く家族たち。  鬱そうと生い茂る植物にその背はかき消えていく。    二度目の生。人間ではなく狼なれども。産んでくれて育ててくれた事に感謝してもしきれない。  生前は両親に恩返しをする前に死んでしまったが、今回は違う。両親は生きているし多くの兄弟たちにもめぐり合えた。  そんな彼らに恩返しが出来るなら自分にはなにが出来るだろうか。    なに少し早い一人立ちだと考えればいい。これ以上迷惑はかけられないし。ロンリ―ウルフ、カッコいいじゃないか。  歩を家族たちとは反対の方へと進める。    ありがとう。そして、さようなら。
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