第一章

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 「ハァハァハァハァ(クソぅ、怖いよォ)」  骨の体力は底なしか。  どんなに引き離しても、疲れてスピードを落として休憩すれば、あのカタカタと乾いた音が追いついてきやがる。  確かに筋肉が無いから筋肉疲労も乳酸も溜まることも無いだろうさ。  でも、だからってどうやって動いてんだよアイツ。  訳が解らない。その存在も動機も。  だが分かることはある。このままではジリ貧だということ。  いつかこちらの体力尽きた時、奴に捕まる。  その前にケリをつける。  身を反転。姿勢を低くし、息を整え待ち構える。    .  ..  ...タ  ..カタ  .カタカタ  カタカタカタカタ    来た。  草木を分け入って来るそのしぐさは人間のようだが外見がまったく違う。  奴はこっちを見つけるとまるで逃がさんぞと言わんばかりに両腕を振り上げ走り出してくる。    距離が詰まる。  近くで見るとよりその異質さが感じ取れる。  さらに姿勢を低くし両四肢に力を込める。これから行うのはおそらく自分の中で一番威力が強いであろう攻撃。  その名も…  すてみタックル!!  命を賭けて敵に体当たり、自分も少しダメージを受ける。きっと命中率は100%、某ポ○モン技から拝借。  見事に骨野郎の胴体に当たりその上半身と下半身を泣き別れにしてやることが出来た。  胴体に当たった時、ポキッと小粋のいい音がしたのでどうやら背骨が折れたようだ。    華麗に着地し相手を見やる。  思ったより弱いじゃないか。外見に惑わされビビって損した。  動きを見せない相手に、ホッと一息ついたその瞬間。  カタカタカタカタカタカタカタカタ  上半身が激しく暴れ出した。  キモッ  そしてその上半身だけでこっちに這いずり寄って来た。  キモキモッ  キサマはテレビから這い出てきた貞子か!  心の中でツッコミを入れつつ再度すてみタックルを発動。  今度は頭部に当たり弾け飛んだ。
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