小椋再び

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「あ‥」 「あ‥!」 今日だったのか‥‥そういや昨日誰か言ってたな‥。 場所がここだったとは‥。 「香苗、どうしたの?乗らないの?もう時間無いわよ?」 「や、やあ‥‥今日お式だったんだね‥おめでとうございます。」 あぁ‥‥マズイ、完全に蔑まれてる。 「乗らないのかい?ど、どうぞ。」 平常心、平常心。 「お知り合いなの?‥あ、大変!香苗‥お母さんバッグを忘れて来たわ!先に行っててお待たせしちゃ悪いから‥‥」 「あ、お母さん!待って‥‥」 「あ、あの‥待って‥」 「ちょっ‥‥離してよ!!」 しまった!思わず腕を掴んでしまった。 「な、何もしない!!じ、時間無いんでしょ?乗ったら?」 銃を突き付けられた外国人のように小さく両手を上げた。 「‥‥‥‥‥そ、傍に来ないで‥奥へつめて‥」 警戒されまくりだ‥‥無理もない、この状況‥‥いつかのあの時と同じ‥。 香苗ちゃんは大きく膨らんだ白いドレスの裾を翻してエレベーターに乗り込んだ。
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