小椋再び

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まずい まずい まずい 歩く速度を上げフロントの前を横切る時、声をかけられた。 「あれ、小椋君じゃないか!君、どうしてここにいるんだい?」 「あ、これは野田部長‥‥その‥」 どうする!販売促進部の長、鮎美や香苗ちゃんの上司だ。 「あの‥‥が、外商部の吉野さんがご結婚されるとかで‥‥店休日で時間が空いていたので、ち、チラッとお祝いがてら‥‥」 咄嗟に出まかせを言うと野田部長は頷きながら頬を緩ませた。 「うちの会社のベストカップルだ!しかしやっと落ち着いてくれて私も安心したよ‥娘を嫁に出すようなそんな気分なんだよ。」 「はあ‥‥お、おめでたいですね‥ほんとに‥」 「もう一人片付いてないのが居るんだがね‥‥あれはもう結婚はしないのかもな‥‥お!そんな事を言ってたらこっちに来るぞ‥‥やぁ、河内君、今日はまた‥制服姿とはグッと雰囲気が変わるね~。」 俺の背中には幾筋もの汗が流れ始めていた。 コツコツと規則正しいリズムを刻みながら鮎美の足音が近付いて来る。
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