第1章 日々

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和馬は大学に電車で通っている。 アパートから駅まで歩いて5分とかからない。 そのため家賃は少し高めだが、通学には便利だった。 すぐにそれほど大きくない駅が見えてきた。 外見はいかにもさびれた感じだが、利用客は意外と多い。 駅のホームに着き、あたりを見回すと毎朝見る人々の光景が目に飛び込んだ。 挨拶をするわけでもなく、目も合わせないのに、顔見知りになってしまうのは何とも不思議だ。 そして、いつの間にか決まった定位置へと移動した。 何を考えるでもなく目の前のコンクリートの壁を見つめたまま電車を待つ。 遅くもなく、早くもない時間で電車が着き、早朝の通勤ラッシュで人の溢れた車内に身を潜り込ませた。
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