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「お兄さんの目、綺麗だね。こういう所、来たことないでしょ?」
「こういうと言うのはどういう事だ?」
「…本当にしらないんだ…。俺がお兄さんに気持ちいい事してあげるの」
「男でも楽しめるって事か…」
「そういう事♪」
笑いながら言ったはずなのに…。
「お前は作り笑いが下手だな」
初めてごまかせなかった。
それが俺にとって嬉しかったのか悔しかったのか複雑で「彰子」ではなく「章吾」として、そこにいた。
「お前、名前は?」
「…章吾…じゃなくて彰子」
「わかった」
男は俺の横を通り過ぎ歩きだす。
「ちょっと待てよ!」
自然と呼び止めていた。
「お前の名前は?」
男は足をとめ俺の方に振り返った。
「…透だ」
それだけ言うとまた歩きだした。
…透
俺は透の背中をしばらく見つめていた。
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