1,雨

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「お兄さんの目、綺麗だね。こういう所、来たことないでしょ?」 「こういうと言うのはどういう事だ?」 「…本当にしらないんだ…。俺がお兄さんに気持ちいい事してあげるの」 「男でも楽しめるって事か…」 「そういう事♪」 笑いながら言ったはずなのに…。 「お前は作り笑いが下手だな」 初めてごまかせなかった。 それが俺にとって嬉しかったのか悔しかったのか複雑で「彰子」ではなく「章吾」として、そこにいた。 「お前、名前は?」 「…章吾…じゃなくて彰子」 「わかった」 男は俺の横を通り過ぎ歩きだす。 「ちょっと待てよ!」 自然と呼び止めていた。 「お前の名前は?」 男は足をとめ俺の方に振り返った。 「…透だ」 それだけ言うとまた歩きだした。 …透 俺は透の背中をしばらく見つめていた。
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