Prologue

13/16
前へ
/92ページ
次へ
 そう思った、矢先のことだった、世界が目まぐるしく変化していく。アーケード裏に立ち並ぶ、得体の知れない店々が、荒れ狂っている東野が、変にぼやけて見えた。  目が、可笑しい。  最初はそう思ったが、すぐにそれは間違いだと思い知らされた。  頭が、痛い。しかも尋常な痛みじゃない。その前兆だったんだ、視界がぼやけたのは、キリキリと、そして時々ズキンと、僕の頭を、痛みが暴れ、駆け回る。  人生結構生きてきたが、こんな強烈な痛みは、初めてだ。意識が……薄い。気づくと、僕は地面に倒れていた。視界が切り替わって初めて気づいた。最早、地面に倒れる痛みなんて感じられない程に、痛い。 「どうした優吉!」  喚き、呻く僕の声を聞いて、東野が駆け寄って来た。目が腫れている。僕も涙が枯れる程泣いたけど、こいつも枯れる程に泣いたんだろう。  いだきを護れなかったことに、自分が何も出来なかったことに無力さを感じる。そう考えていると、頭が余計、重く、痛く感じた。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加