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東野はそんな僕の様子を見て、息を荒げると、唾を飲み、どこかへ駆けて行った。
逃げたのだろうか? いだきを失い、僕は倒れ、この異常事態の連続に耐え兼ねて、逃避したのだろうか?
でもそれも致し方ない。いだきが消えてしまった今、僕は死にたい気分だ。丁度いいのかも知れない。このまま意識を失うのも。
僕がそう、諦めかけた時、
突如として、上空から水から降りかかってきた。また異常な出来事が、と僕はゆっくり上を見上げると、そこにはペットボトルと手が見えた。辿るとその先には、東野がいた。
「水、飲めるか?」
そうか、こいつ、僕の体温が上昇し、発汗が止まってないのを見て、水をかけたのか。それが正しい選択なのかは果たして怪しいところだけど。
でも、僕を心配して……。
僕は勘違いしていたのかも知れない。西野東野という人間を、人間性を。こんなに頼りになって情のある奴だったなんて、僕は目は、節穴だった。
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