Prologue

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 今日はそのいだきと、春休み明け記念に遊ぼうという訳だ。それで僕は今、いだきの玄関でいだき待ち。待ち合わせ時刻にはなったんだけど、いだきは出てこない。まあ得意の寝坊だろう。いだきは天然入ってるから。 「おっす優吉!」  突如として耳元で響く声。ああ、そうだ、そうだよ、こいつも来る予定だったんだよ、西野東野(にしのとうや)。 「うるせえよ、忍び寄って、耳元で挨拶なんかするな!」 「お前のその怒鳴り声の方がうるせえよ、可笑しい可笑思議優吉くん」 「可笑しいのはお前の方こそ。西野東野ってどっちが苗字だかわかんねんだよ、この苗字野郎」 「苗字野郎って何だこの野郎! 西野が苗字、東野が名前だ。とうやだとうや! どうや!」 「ちゃっかり関西的なおやじギャグ混ぜこんでんじゃねえよ!」  全く。こいつとはどうも気が合わない。東野とは高校からの仲だが、こいつも中々の腐れ縁で、高校生活三年連続同じクラスという、僕からすれば、なんとまあ不幸な縁が続いている。  しかもこいつ、金髪にピアスと、明らかに黒髪でピアス穴無しの僕とは正反対の性質を持っているはずなのに、やたら僕と絡んでくる。向こうからすれば「気が合う」というやつらしい。とんだすれ違いもあったもんだ。
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