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そしてこいつの最も厄介な点は、いだきと仲がいいということだ。
東野は僕に対して以上に、いだきへ好意を持っている。まあ、恋愛的な好意ではなく、友達としての好意であることが、唯一の救いだけど。
何でこいつはこうも、不良は不良同士でつるむ、という社会の法則を乱してくれるのか。
僕もいだきも、優等生とは言わないが、社会における、普通の高校生の枠組みに納まる程度の人間である。
だけどこいつは、不良、不良、不良。何度も言うが不良だ。
そこら辺が厄介極まりない。
いだきの身に何かあったら、と思うと、僕は東野から目を放すことが出来ないのだから。恋愛感情はないけど、愛的な感情は持てる甲斐城いだき。何て複雑な友達関係なんだろう。
「お前、おやじギャグ馬鹿にしやがったな、関西人代表としてやったろかコラ!」
「お前は関西人じゃないだろう。それに何をやるってんだよ」
「何だとお前、よおし決めた。決めたぞ決めた。もう決めたかんな。お前におやじギャグの偉大さを教えてやる。見てやるぞ、おやじギャグ奥義、絶対零度!」
「絶対零度って、結局寒いおやじギャグってことじゃん! そこは笑わせろよ!」
「布団が吹っ飛ん……」
「ごめんごめん、お待たせ!」
東野の絶対零度に割り込むように。
ようやく待ち人登場、か。
「いや、ナイスタイミングだったよ。あと少し遅かったら、地球が氷河期に突入するところだった」
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