可笑思議優吉の異象多難

２

「私が透視した結果によると、貴方の異象名は、能力構築（アナボリック）。典型的な肉体強化系の異象ね。対象者の身体能力を限界近くまで引き上げる性質を持っているわ。ただ、代償は意思の侵食。最後は異象に意思をのっとられるわ」

　能力構築。

　能力構築と書いてアナボリック、か。儚さんの透視分析と書いてリトマスと読むのも然り、どうやら異象と言うのは変則的な読みをするらしい。

　語呂合わせですらないなんて、滅茶苦茶な法則だなあ。というか、法則すらないだろ、これ。

「大体、思っていた感じの性質ですね」

「そりゃあ、そうでしょ。私も然りだけど、貴方の異象は、自分が異象化する、憑依型の異象だからね。ある程度のことは自分で知れて当然よ」

「そうなんですか？」

「そうよ。自身に異象が起きている、発生型なら異象のことを知るのは難しいけど、自身が異象化している憑依型なら、異象を自分の体で感じているんだから、自然と性質も知れやすいわ」

　ふうん、そうなんだ。情報収集系や能力強化系。発生型や憑依型。異象って本当、深いなあ。