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気づくと世界は元に戻っていて、目の前には儚さんが、左隣には東野が立っていた。
何だか、何かが抜けたような、そんな感じ。体が軽いとも、重いとも言えず、何と言うか、言葉じゃ表せないかな、これは。
「うん、上手く異象と対面出来たようね。黒渦が出現しているわ」
儚さんはそう言って右隣を指差した。僕は何気なく右側を向いたが、次の瞬間、動揺を隠せないことになる。
だってほら、身の丈より少し大きい程の黒い空間、黒渦が出現しているんだもの。
まあ、でも、僕がここまで動揺したのには、これ以外にわけがある。なぜ、僕がそこまで動揺したかというと、
「この黒い空間もとい、黒渦、いだきを呑み込んだ渦と一緒じゃないか」
あ、東野が先に言っちゃった。
その通り、僕達の目の前に出現した黒渦は確かに、いだきを呑み込んだ渦と、同じ手のものだったんだ。
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