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儚さんは、鼻で息をつくと、考えを纏めたように、見透かしたような態を見せた。
この見透かした感じ。
これぞ儚さんだ。
「優吉くん、もう大丈夫みたいね」
「はい」
「じゃあ、尋ねるけど、その黒渦に呑み込まれたっていう、貴方の友達、名前は?」
「甲斐城いだき。僕や東野と同じクラスの女の子です」
「そう、貴方の彼女なのね」
「違います」
こ、この人、今、カマかけようとしてたよね! 僕に対してカマかけようとしてたよね!
でも残念。僕といだきは本当に恋人じゃない故、その手には引っ掛からないのだった。
「なあんだ。つまんないわね」
カマかけられなかったからって、つまんないって言うな! 僕はお前のネタか!
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