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「と、まあ、大きく本題から逸れちゃってたわね。思い出して、今の本題は、貴方を異象から解放することなのよ」
「ん……そうだった!」
そうだ、そうだそうだ。
いだきの消失を解明しているあまり、本題がすっかり頭から消失していた。というか、これ、僕の為の本題なんだから、僕が忘れてちゃ一番駄目じゃん!
「でも」
でも、でもでも。
知ったからこそ、知ってしまったからこそ、一層、頭から離れない。いだきのことが。
「……ねえ、儚さん」
「なに?」
「僕は今から、この異象の、異象世界の中に入るんですよね?」
「そうよ、それがどうしたの? 言っとくけど、一度入ったら、もう後戻りは出来ないからね。ふんどし締めて、覚悟を決めておきなさいよ」
「覚悟は、もう、決めました。血、止まるんじゃないかってぐらい、ふんどし締めましたし」
「え! 優吉くんって、本当にふんどしはいてたの? 男前じゃない」
「なわけねえだろ!」
比喩だよ! 比喩!
ものの例え!
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