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「今言った通り、覚悟は決めたんです。でも、でも、いだきが、いだきが、頭から離れないんです。頭から、頭から」 「そう、それで?」 「今から入る異象世界、そこには、何かいだきに関わる手掛かりが、転がっているんですか? そうでもないと、僕は、やっと、やっと繋がったこの、異象という手掛かりを、とてもじゃないけど、手放せません」  神妙な顔を浮かべる僕を見て、儚さんは、情けない、という言うような、侮蔑的な表情を浮かべた。 「貴方、高望みしすぎよ。異象世界っていうのは、それぞれの異象が持っている、固有世界なんだから、いだきちゃんが呑み込まれた異象世界と直接関与することは、まず無いわ」 「そう……ですか」 「でも」  そんな後ろ向きな僕の返事を、即座に切り返すように、儚さんは言葉を続けた。 「貴方がもしここで、異象を、手掛かりを失うこと恐れて、踏み止まったら、もう先へ進めないと思うわ。異象が、手掛かりが残ったとしてもね。だって、貴方、最後は異象に意思を支配されちゃうんだし」
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