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「湯船でうっかり寝るなんて、やっぱし可愛いな、いだきは」
このこの、と肘でいだきにちょっかいを出す東野。いだきは照れ顔を浮かべて「ごめんなさい」と体を縮こめながら言っている。
中々可愛い仕草だ。……だが、なんだお前は東野。気軽にいだきに触れるなよ。いだきが嫌だと口に出していないから、あえてツッコんでないけど。
「はいはい、そこまで。皆集まったんだから遊ぶ所を決めよう」
「は、うるせえ。今ラブラブタイムなんだよ」
「お前がうるせえよ。ラブラブタイムってなんだよ。ほら見ろ、いだきの嫌そうな顔を」
「いや、別に嫌じゃないけど」
「ほら見ろ、クソ見ろ、ざまあ見ろ! 付き合ってもない癖にちょっかい出してんじゃねえよ!」
「嫌じゃないけど、望んでもいないかな」
「あ、そうなの。ごめんごめん。そうだよね、目の前にこんな奴がいたんじゃ不快だよね」
「こんな奴ってどんな奴だ、言ってみろ」
「変な奴」
「てめえ!」
「ちょっと二人共止めてよ。今日は楽しい楽しい日曜日なんだから!」
いだきに制され、ようやく僕は冷静を取り戻した。全く、どうにも東野とは気が合わない。喧嘩する程仲がいいなんて、言った奴の顔が見てみたいぐらいだ。
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