Prologue

8/16
前へ
/92ページ
次へ
「どこに行く?」  いだきは軽快に、はきはきとした声で言った。僕が俯き考えていると、東野が 「考えるの面倒だし、最初はカラオケにでもいかねえ? テンションあがるし」  なんて言ったものだから、考えていた僕からすれば、不快極まりなかったが、ここは我慢、我慢。 「そうね、カラオケに行きましょう」  なんていだきが言ったもんだから、我慢する他選択肢は無い訳だしね。 「そうだな、カラオケがいい」 「口裏合わせてくんな」  我慢……だ。  ということで、僕達はまず最初にカラオケに行くことになった。よし、今日はめいいっぱい楽しむぞ。高校生万歳。  住宅地から離れ、雑貨屋、デパート、ゲーセンなんかが立ち並ぶアーケードに向かう。 「どこのカラオケに行く?」  いだきが言うと、東野が真っ先に手を上げる、上げる、上げる。わかった、もうわかったから。そんな何度も手を上げ下げしないで。 「アーケード裏にあるカラオケに行こう。あそこは値段が激安なんだ」 「どこだよそれ」 「知る人ぞ知る、カラオケさ」  ふうん、そう。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加