《 第4章 》 鬼と蝶

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   土方は、ククッと軽く笑ってから帰蝶を水から上げるべく、手を差し伸べた。   「まるで、濡れ鼠だな」   「誰が、そうしたのじゃ」    少し剥れながら帰蝶は差し出された手を掴んだ。   「すまねぇな、見つけた泉の中に放り込めば或いはと思ったんだがな」    土方が、そう言い終わると帰蝶は手を掴んだまま土方の重心が前のめりなった所を見計らい、そのまま土方の手をグイっと力一杯引っ張り込んだ、バランスを見事に崩した土方は、見事に帰蝶と泉の中へ。   「冷てぇ......何しやがる」      バシャバシャと踊る水の中、流石にこれに驚いた土方は帰蝶を睨んだが、帰蝶はさも楽し気にケラケラと笑っていた。    「これで、相子じゃ」    
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