《 第5章 》 紫陽花の咲く頃

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   そこには、同士にしか解らない絆が大樹の如くある事さえも、ただ城の中で育てられた帰蝶には理解出来ない、そんな友人の一人も居なかったのだから……。  呆然としている帰蝶に、織乃助は少し顔を伏せ躊躇いがちに口を開いた。   「私は、そんな風にお蝶さんに心配して貰える先生が羨ましいです」    織之助がポツリと言った言葉が帰蝶には聞き取れず、もう一度聞き返したが、織之助は顔を真っ赤にさせ俯き黙ってしまった。   「有賀!!そんな所でサボってんじゃねぇ、剣を振れ」    道場の中から土方の怒鳴り声が相変らず響き織之助は、軽く帰蝶に会釈してから、そそくさと道場の中へと姿を消していった。    
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