《 第1章 》 嵐の日

2/21
117人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ
    ――時は、天文17年(1548年――       戦乱が激しく加速し始め世の中は乱れていた。  ここ、美濃国も例外ではなかった。   「イヤじゃイヤじゃ!!」    雨音を遮るかの様に、邸内に突如叫び声が響き渡る。   「父君は、大馬鹿者と噂の輩の元に妾に嫁げと申されるのか!」    閑散とした大広間の中、帰蝶(きちょう)は凄まじい剣幕で幕越しに居る道三(どうさん)に問いただす。   「駄々をこねるでない帰蝶、父も愛しい娘をうつけと評判の男なんぞにくれてやるのは偲びないのだ」       歳にして14……。  まだまだ遊びたい盛り、あどけなさの残る帰蝶には、苦痛で迷惑な輿入れの話しであるが、道三が尾張国の織田信秀を頼りにしたばかりに両国の間に亀裂が入り望まない戦になってしまった。    道三と信秀は和議の為両者の子供達を輿入れさせ、両国を結ぶと言う話しになった。      
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!