阪の絹糸はお幾らでっか。

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「…………寝相悪い連中に挟まれてるじゃないか」 「……!!? 総司がそこなら何があっても問題ないって言うもんだからそこに…!!」 もし敵の襲撃があっても、平助君と左之さんの間ならきっと大丈夫。そう言うから、安心して褥を敷いたというのに。むしろ、敵が襲ってきた方が、楽、といってやりたい! まだ嘉一の向かいの布団にくるまって喧騒を高見の見物していた沖田が、ぎくりとしてから布団に引っ込んだ。 すぐに土方が布団を引き剥がすと、沖田がむくれた顔で 「だって平助君も左之さんも寝相悪いんだもの……」 不満げにそう漏らした。名をあげられた、藤堂も、原田も、酷く居心地悪そうに嘉一の両隣で座っている。 藤堂の向かいの井上が、まぁ寝相はどうしようもないからね、と慰めるものの、友人にぼろくそに言われた藤堂の気は未だに沈んだままであった。 確かにここ数日、稽古中に日の当たる場所でうとうと居眠りして新見に叩き起こされていたり、防具無しの相手に突きをうとうとしたり。極めつけに手製の酒の魚が異常に塩辛かっただなんて、この男らしくもない行動は多々あったけれど。 ……まさか、自分のせいだとは。 芹沢らには部屋に戻ってもらって、起きた連中で何故か暫く雑談を交えていると、当然近藤が勢いよく立ち上がる。ぎょっと皆でその様子を見ていると、 「……………よし!! 俺に名案があるぞ!」 「あん?」 今まで嘉一の髪を結っていた土方が怪訝そうにそちらを見る。 「……名案とは?」 斎藤がぽつりと問うた。 「一いたの」 「いた」 いつものようにえくぼを見せてにっこり眩しく笑った近藤を見て、皆一同に首をかしげる。今までも時折、突拍子のない事を言い出す男ではあったけれど、今度は何だと言うのだ。 「…………勇さん?なんだってんだ?」 「……歳、暑い……もうちょい向こう……」 「あんたは俺に褥無しで寝ろってのかよ……」 「うっいてっ!平助蹴るなよォ…」 「左之さんこそ寝ぼけて俺の腹に拳叩きつけないでくれねーかな」 「お前ら少しくらい静かにできないのか!」 「うぅん……新八さんも十分騒がしいですよ…こほっ…めちゃくちゃ安眠妨害……」 「総司、土方君に続いて君まで風邪かい?」 「飯を食わないからだろう」 「……斎藤君に言われても困っちゃうよ……うわっ近藤先生もう寝てる……」 「あー!ちょっともういびきー!!」  
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